<やまなし介護劇場>
「母、危篤」の連絡を受け、東京から故郷山梨へ飛んで帰って早10年。50代独身の著者が愛する母を介護しながら生活する日々を明るくリアルに綴ります。
土用には「う」がつく食事がいいらしい
夏土用の頃、晴れた日はギラギラと照り返し、雨の日はムシムシとまとわりつく暑さに、体も悲鳴をあげてしまいますよね。
土用といえば「うなぎ」が思い浮かびますが、「う」がつく食事をするといいそうですね。うどん、うめぼし、うり、うし、などなど。その日の体調に応じて、「う」を取り入れた食事を楽しみたいものです。
さて、介護人のための健康シリーズ第三弾、今回は「体幹」です。これはもちろん介護人ではない方々にも効果があるので(←個人の見解です、笑)、前々回の「アンガーマネジメント」と前回の「呼吸法」と併せて参考にしてくださいね。
介護は体が資本です
介護人の道は、たいてい老い始めに始まります。体力みなぎる若い頃は、およそ親も元気ですから。時を経て、親の老いとともに自分も筋力も低下して、節々に痛みを感じる頃……ですね(涙)。私が介護生活に入ったのは42歳だったので、介護人としては比較的若い方でしたが、それでも更年期の入口だったわけで、まず最初に私が直面したアクシデントは「ぎっくり腰」でした。
実家に戻って介護を始めるまでの私は、舞台人のたしなみとしてずっとジャズダンスを続けていたので、体の故障とは無縁でした。それがダンスを辞めて一年ほど経った頃でしょうか。ある日、座椅子でうたた寝し、起き上がろうと思ったら「ピキッ」と来たんです。激しい痛みが背中から腰にかけて走り、そこから一週間、腰コルセットを装着。まさに悶絶しながら介護人生活を送りました。
正直、ショックでした。体力も筋力も貯金が出来ないんだ……と、中高年の悲哀を知ったあの時。あの「ぎっくり腰」が、私の健康意識を高めた瞬間でした。
骨盤の位置、正しいですか?
上半身の不調は「肩甲骨」から、下半身の不調は「股関節」から、と個人的には確信しています。肩周りが硬くなれば、肩こりや四十肩・五十肩の入口です。ただ上半身に関しては、日頃から肩周り(肩甲骨)を意識してほぐしていれば、ある程度は自力で楽になります。
しかし骨盤周り(股関節)は体のカナメであり、動きの起点です。だから腰椎や脊椎のヘルニアなど深刻な症状は自己コントロール不能だと思われがちですが(実際、放置し続ければ外科治療しかありませんが)、そうならないためにも体幹を強化するべきです。
特に女性が意識すべき部位は「骨盤」。体幹を意識できるようになって、普段から骨盤の位置矯正および調整するようになれば、日常生活のパフォーマンスが広がり、いわゆるクオリティ・オブ・ライフが爆上がりします! 早速、そのコツをご紹介しますね。
気軽に腹圧を高める
スポーツジム経験者なら馴染みのある「腹圧」。いわゆる「腹に力入れろ~!」という「腹腔内圧」のことです。
トレーナーに「腹圧を高めて!」なんて指導されても、「え、腹圧って何?」と思う方も多いのではないでしょうか? 腹圧には種類がありますが、代表的なものを3つ、簡単に解説すると、
1)ドローイン
お腹をへこませて、下腹をおへそに向かって引き上げる。呼吸は止めない。
2)バルサルバ
お腹を膨らませて、下腹に力を入れる。無呼吸(ウエイトリフティングなど、瞬発力を発揮する時の腹圧)。
3)ブレーシング
お腹を横方向に膨らませて下腹を安定させる。呼吸は止めない(歌う時など発声を安定させる。深呼吸がスムーズになる腹圧)。
今回ご紹介したいのは、1番のドローインです。なんだかスマートな響きですが、東洋的な説明だと「丹田(たんでん)を強くする」方法です。
このドローイン(私の意識では丹田)を日常生活に取り入れると、介護でのぎっくり腰の回避はもちろん、寝起きや歩行、生活全般の「動き出し」を支えてくれます。
丹田は、おへその下指3本あたりの下腹(厳密には下丹田)。息を吐きながら丹田に力を入れ、おへそに向かって引きあげる———これがドローインです。
やることは、これだけ。でも下腹に力を入れることが上手くできない人は少なくありません。その場合、他の部位に意識を向けると自然に出来ます。
たとえば「お尻の穴をギュッと締める」と自然と下腹も連動し、丹田が引きあがります。もしくは椅子に座って片足をあげようとすると、自然に下腹に力がこもり、引きあがります。
そんなところからドローインのコツを掴んで、起き上がる時、立ち上がる時、歩き出す時などに日常的に腹圧を入れてみると…… あら不思議! 股関節に負担がかからないから歩くのもスムーズになり、ドローインすることで、反り腰などが矯正され、骨盤が本来の正しい位置に入りやすくなるんです。
ドローインを習慣化して正しい骨盤の中立位を体得すれば、姿勢がとても綺麗になり、呼吸もスムーズになって代謝もあがるので太りにくくなります(本人体験談)。「姿勢美人」になれば、介護人の悲壮感とは無縁に(笑)。心と体の調子が良くなれば、若い頃のようなワクワク感も蘇るという、まさにプライスレスな健康法。どうぞお試しあれ!