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東京オリンピックも秒読み。日本の「おもてなし」の真髄とは?
世界に伝えたい日本の「おもてなし」。する側と受ける側がある「おもてなし」ですが、それぞれの側から見た「心地よいふるまい」とは、どういうものなのでしょうか。私たちが知っているようで知らない和文化のしきたりやマナーなども、たくさんありそうです。そんな「心地よいふるまい」を少しでも掴むために、 シリーズ第3弾となる『一流のサービスを受ける人になる方法 極(きわみ)』の著者、柘いつかさんにお話を伺いました。
『一流のサービスを受ける人になる方法 極』柘いつか著
Q:本書には、男性の着物の嗜みを語る方や、相撲部屋での験担ぎを語る方、お蕎麦の楽しみ方を語る方など、「一流とは何か」を紐解くきっかけになるような40人の方が登場されています。どのような観点から選ばれた40人なのでしょうか?
今回、取材をさせて頂いた多くは、私が長年お付き合いさせて頂いている方々ですが、なかには本書を執筆するために初めてお声がけさせて頂いた方もいらっしゃいます。「一流のサービスとは何か?」を語る本はあっても、「一流のサービスを受ける人」について書かれた本が日本にはほとんどなかったので、客側の視点から上質なこととはどういうことなのかに焦点を当てました。ですから、本書で取り上げた方々は「客っぷり」の良い方々、私の中で一流だと思った方々ですね。
Q:柘さんご自身がこれまでに受けた「最も印象的な一流のサービス」とは、どんなものでしたか?
私のために花火を挙げてくださるというサービスを受けたときや、ホテル到着時に冷たいおしぼりと氷水が出てきたり、部屋とバスルームが好きな香りで満たされていたり、日経新聞や地元新聞紙、各種ゴシップ紙(笑)まで揃えて用意してくれていたりなど、いろいろありますが、日常のふとしたときに受けた上質なサービスもあります。
あるスーパーマーケットのワインコーナーで、ちょっと良いワインを買おうとしていた時のことです。レジに向かおうとしたら、ソムリエの方が、その日は店のメンバーズカードがあれば割引される日だと教えてくださったんですね。でも、あいにく私はカードを持ってきていなかったので、たくさん買うのに残念だったなと思った瞬間に、そのソムリエの方が「これを使ってください」とご自分のカードをこっそりと私に差し出したのです。お会計を済ませてカードをお返しに行ったら、何事もなかったように落ち着いた物腰と笑顔で店から送り出してくださいました。なんだか秘密を共有したような感じというか、特別なことを享受したような気持ちにさせる、とても上質な一流のサービスだと思いましたね。
Q:そんなサプライズ的な一面も、一流のサービスを構成する要素なのですね?
ええ、一流のサービスとは、常にきっちりと正しいことをする、というものでもないと思うんです。花火にしても、ソムリエの方にしても、ちょっと遊び心があって粋な感じがしませんか? さりげなく、付かず離れず、スマートに的確にお客様に接することができるのが一流のサービスのプロフェッショナルだと思います。
どうすれば一流のサービスを受ける人になれるのか?
Q:では、そんな一流のサービスを受けるためには、どのような客であるべきなのでしょうか?
最上のゲストとして、上質な心地よい振る舞いをすることです。たとえば上質な靴を履いているかとか、仕立ての良いスーツを着ているかとか、どんな時計を身につけているか、髪や爪は汚れていないかなどと目に見えるものは、誰が見てもわかることだと思いますが、それよりも大事なものは自信です。それは相手に対して偉そうに振る舞うとか、威張ることではなく、その人の内面から出る自信。心の余裕と言った方がいいかもしれません。それが、その人の立ち振る舞いや言葉に現れて、上質な客だとすぐにわかるのだと思います。
Q:本書を通して読者へ最も伝えたいことは何ですか?
「一流」とか「上質」という言葉には極めて特別な印象を受けると思うのですが、実際には一流と言われる方々だって普通の人間です。ただ、とてもおおらかな人(笑)が多いといいますか、茶目っ気や遊び心を忘れずに大人になった方々が多いと思うんです。逆に言えば、心持ちを変えて自信を持つこと、いろんな人生経験を重ねれば、誰でもその垣根のようなものを越えられるし、一流と言われる方々のように生きられると思うんです。ですから、人として謙虚であることは大事ですが、多くの方々にもっと日本人として自信を持っていただきたいなと思っています。
Q:GWG読者は人生の折り返し地点に立ち、自分らしい生き方を模索する女性が多いのですが、何かメッセージをいただけますか?
今まできっと、精一杯生きてこられたのでしょうから、これからはもっとお気楽に過ごされては如何でしょうか(笑)。
——本日はありがとうございました。
柘いつかさんのプロフィール:
東京都目白生まれ。10代からコピーライターとしてマーケティング、ネーミングや商品開発、企業セミナープロデュースに携わる。 『一流のサービスを受ける人になる方法』シリーズは3作目を刊行。恋愛・結婚についての辛口エッセーや、成功と孤独に焦点をあてたビジネス書など、電子書籍を含め著書は50冊を超える。 世界50カ国以上を訪れ、多彩な人脈を持つ。テレビ・ラジオ出演、講演、トークショーなどでも活躍中。ベストセラーとなった『成功する男はみな、非情である。』(PHP研究所/だいわ文庫) 『別れたほうがイイ男 手放してはいけないイイ男』(PHP研究所)はアジア各国で翻訳された。 日本アカデミー賞協会会員。詳細は柘いつか公式サイトへ。http://tsuge-itsuka.com/