今年は自分を試す年に!
イギリス人生パンク道

九州出身で英国在住歴23年、42歳で二児の母、金髪80キロという規格外の日本人マルチメディアアーティスト大渕園子が、どうすれば自分らしい40代を生きられるかを探してもがく痛快コラム。40代はあと8年。果たしてそれは見つかるのか?!

2025年がやってきた!

 最近、スレッズで衝撃的な英語の投稿を見かけた。その内容を訳すとこうだ。

 「2025年がやってくる。1990年生まれの人たち、もう35歳だよ。1980年代生まれの皆、2005年が未来に感じたあの頃を覚えてる? 今やそれがもう20年前……1995年よりも2050年が近いなんて実感、湧かないよね」  あまりの衝撃に、私は自分と同年代の友達グループにその投稿を転送した。皆も私と同じように驚き、言葉にならないほどの衝撃を受けたと言っていた。「恐ろしい事実なんですけど!」という一言が私の周囲の40代たちを代表する感想だった。

 1990年代後半、高校生だった私はTLCの「No Scrubs」のミュージックビデオに登場するメタリックで未来的なミレニアムの世界にワクワクしていた。その頃の私にとって2000年代はまさに未来そのもので、あの頃に感じた「新世紀」の感覚が今でも心の中に残っている。

 だが、冒頭で紹介したSNSの投稿によってその幻想を覆された。「2005年はもう20年前」—— それに気づいた瞬間、当時腰パンを履いていた22歳の私が、裏起毛のレギンスを履く42歳になっていることをまじまじと実感したのだ。あれから20年も経ってしまったのだ。

2024年は旅する1年だった

 このコラムの公開日は2025年元旦。私は今年をどんな年にしたいのだろうか。

 40歳になるまでは年初めに計画や抱負を立てることなく、ただ流れに身を任せてきた。しかし40代に入ってからは、そこから10年をどう生きるかを真剣に考えるようになり、年の初めに抱負を掲げるようになった。昨年は「旅する1年」にすると決めて、実行に移した。アメリカで新年を迎えたのを皮切りに、中東の国まで含めて11回も海外旅行をした。長男の不登校と向き合って家族が少し安定してきたと感じられたので、自分の時間を持つ決心がついたからだった。

 もちろん、お金に余裕があるわけではないが、自分で稼いだお金を自分の経験に使うことに決めた。もしかしたら新しい景色を見に行くことで、心の重荷が軽くなるかもしれないと思ったからだ。そして、2024年のたくさんの旅が私の心を癒し、アートとして気持ちを表現することで辛かった日々を振り返ることができた。その集大成に12月には福岡で個展『縫い目ばかりの我が人生』を開催することもできた。

2025年はどんな年にしたいか?

 2025年には、昨年の経験を生かしてさらに「形」にする挑戦をしたい。自分の内面を表現するアート活動を本格的に始めて、ロンドンや海外で個展を開くという夢を実現したい。それがどんな結果を生むのか、それを体験してみたい、と考えている。

 実はずっと恐れていた「ファインアート」の世界に踏み込むことに対して、大きな不安を感じている。これまでは寛大なクライアントからアートやデザインを制作する依頼を受け、その中で自分ができうる最良の仕事をしてきた。しかし、「ファインアート」の世界はそれとは違う。誰からも頼まれず、ただ自分の感覚でアートを作り出すのだ。それがどんな結果を生むのかを考えると不安だが、40代を迎えて経験を積んだ今だからこそ「きっとできる」とも感じている。

 「2005年は20年前なのだ」と気づいたとき、時間があっという間に過ぎることを痛感した。もう幻想にうつつを抜かしている暇はない。自分を思いっきり試す時が来たのだ。

 「この年齢から何かを始めるのは遅すぎる」と思っている人も多いだろうし、私も少しはそれを感じている。しかし、年齢に関係なく挑戦し続けることでこそ、本当の成長があると信じたいのだ。迷っているならば、辞めるより一歩を踏み出したい。これまで見えなかった景色、経験したことのない挑戦がきっと待っているはずだから、恐れずに未来を自分の手で作り上げていきたい。

 今日の一歩が、未来を形作る始まり。そう信じて今年は一歩、踏み出してみようと思っている。

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