
<やまなし介護劇場>
「母、危篤」の連絡を受け、東京から故郷山梨へ飛んで帰って早10年。50代独身の著者が愛する母を介護しながら生活する日々を明るくリアルに綴ります。
母の祈りとは何なのか?
ベッドの上での母(さだ子)の習慣のひとつは祈りです。信仰心からの祈りいうよりも、主に「家族の無事」と「天気」について八百万の神々に託しているようです。家では微笑ましいで終わる母の祈りですが、母が天気を祈るとデイサービスの行き帰りに雨がピタッと止むことがしばしばあるため、職員さんから「アマテラスさだ子」と呼ばれるように。母はそう呼ばれてまんざらでもないようです。
戦前中後を経験している母は、古きしきたりや様式も大事にしています。神仏への祈りは激動の時代を生き抜く先人の知恵だとも感じているそうで、それは現代でいうところの「マインドフルネス」なのかも知れません。そんな母の影響もあり、私もありとあらゆるものであれ神仏に遭遇すると拝まずにはいられない性分になりました。この国の祈りの原型は「八百万の神」のため、なんでもOKな雑食信心ですが、祈ればなんとなく心は整います。ベッドに寝ている母も平静を保つためにも祈りが必要なのでしょう。おかげ様で母は春の訪れとともに表情も明るく過ごしています。
アマチャヅル茶の効用がすごすぎる
昨今は健康志向が高まって生薬やハーブ茶などの需要も高くなっているようですが、その昔、農業をしていた母は例えば子どものちょっとした切り傷には野草のヨモギを揉んで貼り付けるというような自然療法が得意でした。
私が子どもの頃、水分補給によく飲まされたのが「アマチャヅル茶」というクセがなくほんのり甘味があった野草茶。これが最近、注目を浴びている生薬だそうです。アマチャヅルは山に生えているツル科の植物です。母が農作業をしていた山の畑にワサワサ生えていたそうで、好奇心旺盛な母は本でそれが高麗人参と同様のサポニンを多く含んでいる「アマチャヅル」だと知り、お茶替わりに子供たちに与えていたそうです。サポニンが中枢神経に働きかけ精神を安定させるので、アマチャヅルにはストレス解消、疲労回復、老化防止、糖尿病、高血圧、胃潰瘍、内臓器官の働きを高めるなど様々な効果・効能があります。花粉症の改善や咳止めや喘息にも効果があるらしく、私は子どもの頃に飽きるほどアマチャヅル茶を飲まされたので、そのおかげかいまだに花粉症を発症していません。国民の二人に一人が発症しているというのに我が家の4兄弟姉妹はゼロ。不思議です。「山にワサワサ生えていたから……」という節約かと思っていましたが、母には先見の明があったのかもしれません。
生薬好きは遺伝か習慣か
母の生薬好きは妹に遺伝しているようで、この連載でイラストを描いている妹は、ヨモギやドクダミでお茶を作っています。それだけでなく、山で「メグスリノキ」という室町時代から江戸時代にかけて民間療法で眼病に使われた木を見つけて葉をお茶にして自分の目に点眼していましたが、健康診断で指摘されていた眼底の異常がなくなったそうです(あくまでも個人の感想です)。その妹も「山にワサワサ生えていたよ~」と、母と同じことを言うのでこれは遺伝なんだと思います(笑)。
たとえば「料理好きな母の娘は、今料理をしていなくても料理を始めると得意になる」とか、遺伝にまつわる話は摩訶不思議。でも同居の場合は遺伝なのか生活習慣なのかはグレーゾーンかもしれません。毎日一緒に暮らしていれば嗜好が似るのは当然です。私はどちらかというと母よりも能天気な父からの遺伝が強いと思っています。でも母から自分が受け継いだ遺伝は何かも知りたいので、日々の介護暮らしの中で探っていきたいと思います。まずは今年こそ自然としっかり向き合い、母の教えを汲んでまずは家庭菜園から始めてみようかな。
介護メモ「ポータブルトイレ」
寝たきりの病人は排泄もオムツ対応のみになってしまいますが、うちの母のように起きたり座ったりできるうちは、排泄はポータブルトイレで対応します。排泄の度に便器を洗浄するのは大変なので、我が家では便器の底にクルクルと大きく丸めたトイレットペーパーを下敷きとしてセットし、大きい方をしたらそれごとトイレに処理します。市販の立派な下敷きも販売されていますが、消耗品なのでトイレットペーパーでも充分。これで大分ラクになりますよ。ちなみにお尻ふきのペーパーはトイレットペーパーよりも、昔からの「落とし紙」が肌に優しくてお勧めです。現在もドラックストアで売られているので是非。
