アメリカ生活で避けるべき話題とは?
アメリカは4年に一度の大統領選挙を目前にし、世間はざわざわしております。そんなざわつきムードのアメリカ南部から、皆さん、こんにちは~!
アメリカでは「政治、宗教、人種」の話をするのはご法度……と、いうのを聞いたことはありますか?
この話題になると、思想や意見の違いがぶつかることが増えるので、会食の席や近所での会話など他人と話すときにわざわざこれらのトピックを振るのは「ご法度!」とされておりました。でも、最近では少々風向きが変わってきたように思います。
赤い政党(リパブリカン、保守派)も、青い政党(デモクラッツ&リベラル派)も、お互い自分の思想に同意しない人に対しては「アホ・バカ・ルーザー扱い」する傾向が高いアメリカでは、両者の意見がぶつかりあっているニュースやSNS投稿、会話などが毎日続いています。
そんな中、私が住むルイビルは、ブリアナ・テイラー事件のお膝元。この事件は、ブラック・アメリカンの女性ブリアナ・テイラーさんの家に麻薬捜査官が強制捜査を試みた際、屋内にいたブリアナさんのボーイフレンドがそれを強盗だと勘違いして警官へ発砲。警官の応戦を受けて、ブリアナさんの命が奪われた事件。ブラック・アメリカンが警察官に殺される事件が続いたことを受け、BLM (Black Lives Matter)のサインを掲げた大勢のプロテスターたちが警察への抗議を続けました。そのため、プロテスターに破壊されることを恐れ、BLMのサインを出している家やレストランもあったり……と、ダウンタウンや繁華街では少々頭が痛い日々が続きました。
つまり、これまでは避けるべき話題だった自分が何を支持しているか等を、あえて出す流れが生まれたのです。
ちなみに、アメリカで生まれた黒人のアメリカ人は、ブラック・アメリカンと称されます。アフリカン・アメリカンと称されることもありますが、この呼称に対して繊細な意見を持つ人もいるため、ブラック・アメリカンと表記させて頂きます。
支持政党が異なると離婚にもなりかねない
私はアメリカに長く住んでいても、市民権を持っていません。永住権、つまりグリーンカード所持者なので、私はアメリカ人(米国市民)ではありません。長年しっかりとアメリカに税金を納めておりますが、アメリカでの選挙権はありません。
日本でも外国人には選挙権はなく、世界を見わたしても「外国人」が選挙権を持つ国はほとんどないので、これには全く文句もありません。たまに、「もうアメリカ人になったの?」とか「選挙は誰に投票するの?」と聞かれるので、この場を借りてメンションしておきますね(笑)。
さてさて、そんな私ですが、前回の大統領選挙の際に「やれやれ大変ね~」と思ったエピソードがありました。
友人の新婚カップルが、なんと挙式から数カ月後にひっそりと離婚していたのです(驚)。
南の島のビーチで、二人のために花火まで上げた盛大な披露宴をした美男美女の華やかなカップルでした。お互いが支持する政党が違ったのは、私たちですら見るからに分かっていたんだけど、政治に関する見解の違いが大きな亀裂となり、お互い違う道へと進んだそうです。
「そんな大事なこと、結婚する前に分からなかったの?」って疑問に思うところですが……。
このカップルの場合、男性が結婚後すぐに政界への進出を考え始めたので、この思考の違いによる仲違いは死活問題に。これはまぁ……しょうがないのかな~と思いつつ、支持政党が違っても夫婦で政治に関わっている夫婦もいるので、彼らもうまくやるんだろうな~と話していただけに残念でした。これが「やれやれ大変ね~」の第一弾。
「やれやれ大変ね~」第二弾は、旦那さんは熱烈なトランプのファンで、奥さんはそれに反対する政党を支持しているカップル。家の前にトランプ2020の旗を立ててしまった旦那さんに頭を抱える奥さん、「家に卵を投げつけられるからやめて!」と小競り合いに(笑)。はい、アメリカでは嫌がらせをする時に生卵を投げつけることがあるので要注意です。その後、夫婦の話し合いの結果、旦那さんが勝ったのか、もしくは理解のある奥さんなのか、今もそのカップルの家の前には素敵にトランプ2020の旗がたなびいております(よい夫婦の秘訣はコミュニケーションが鍵ですよー)。
寝ても覚めても家族で政治の話……はきついよね
特に今のアメリカは、右と左に二分された(分断されたような)状況なので、カップルで支持政党が違うのは結構、厳しいのでは?と思っていたら、やはりそれで問題になっている家庭も結構ある様子。特にトランプが大統領になってからは「トランプが私たちの結婚生活を破壊している」といった見出しの記事をよく見かけるようになりました。
政治に関心が強い国だけあって、特にこの大統領選挙前は仲良い飲み友達の仲であっても、政治の話になると会話が白熱した“討論”になりかねない……
なので、一緒に生活している夫婦となると、寝ても覚めても支持していない政党の文句を言う、言い返すを繰り返すのかと思うと……もっと大変なんだろうな~と察しがつきますね。
やれやれ、やれやれ。
我が家は私に選挙権がないのと、中立という思考が似ているのと、両者ともにクリスチャンなので何も問題はありませんが、もし支持政党や宗教感などの意見が違っていたら毎日どんな会話になるのだろうか……と想像すると、地獄絵図でしかないですね(笑)。
オバマ政権でも自分たちにとって良い改革はあったし、その逆もしかり。トランプ政権のお陰様な改革もあった。
これからの政権が自分たちにどのような影響を与えるのかを考えつつ、アメリカの友好国である日本に与える影響も考えると、今回の選挙はたとえ選挙権がなくても注目せざるを得ないイベントとなりそうですね。
どちらの政権になろうとも、「Life Must Goes On」。パンデミックでなかなか日本へ帰れない今、ホームシック……いや、日本シックなのでしょうか(笑)? 日本とアメリカの絆がさらに強まるように願わざるをえません。