不妊治療の辞めどきは?
国際結婚・海外移住

【国際結婚・海外移住の質問に答えます!】
人生の選択肢を海外へ広げたいGo Women Go読者の皆さんからの様々なご質問に、国際結婚歴16年のジョーンズ千穂さんがアメリカから答えます。

読者からの質問:不妊治療はどのくらい続けるべきですか

不妊治療を始めて約3年。治療すれば簡単に妊娠できると思っていたのに妊娠しないので、体外受精にステップアップしようと思っています。でも体外受精の経験談を読むと何回もチャレンジされている方が多いようですが、通常どのくらい続けるべきですか? 辞めどきのようなものはありますか?

治療中はポジティブに!

 こんにちは。そうですよね、不妊治療を始めれば簡単に妊娠できると思っちゃいますよね。私もそう思っていました。そして質問者さんは今、体外受精を考えられていらっしゃる——私も体外受精に挑んだ経験者です。

 私の場合は、結婚前に婦人科で検査をして問題なく妊娠できると太鼓判を押されたこともあって、結婚したら子どもは自然にできるものだと思い込んでいました。夫婦共に特に身体に不調もなかったし。それに同年代で「不妊治療を考えている」と話していた友人たちが続々と妊娠したので、「不妊治療を始めると、すぐに妊娠するんだな」と思っていたんですよね。

 でも、私はなかなか妊娠しませんでした。不妊治療を始めても妊娠しなかったので、体外受精にステップアップ。「人は人、自分は自分」と言い聞かせても、通院はため息まじりだったので、治療を受けるたびに毎回メンタルがダウンしていました。なので質問者さんのお気持ち、お察しいたします。私を反面教師にして、どうか前を向いてポジティブに次の治療に挑んでください。

体外受精は何回するべき?

 30歳を過ぎていた私たち夫婦が不妊治療を始めた頃の思考推移はこういう感じでした。

「排卵誘発剤を飲んだら妊娠するだろう」

「人工授精をすれば妊娠するだろう」

「ステップアップは早い方がよいだろう(年齢的にあまり時間がないから)」

「体外受精は人工授精より妊娠する確率が高いらしい」

「体外受精で妊娠しないわけがない」

と、まあ、我が家の場合はこうして体外受精にステップアップしました。

 初めての体外受精は、当時住んでいた日本で受けました。アメリカに引っ越すと決まっていたのですが、やると決めた以上は一刻も早い方がいいだろうと思って日本で受けたのです。

 不妊治療をしていた同僚夫婦からも「体外受精には終わりがみえない」という経験談を聞いたので、私たちも「何回くらい受けたらいいのか?」と悩み、夫婦で話し合いました。そして「だいたい3回くらいやれば成功するんじゃない?」「そうだね、3回くらいが限度だね」と、「3回」という数が一番しっくりきて3回に決めました。

 初めての体外受精では、移植できる状態の良い受精卵がひとつしかできませんでしたが、幸い受精卵のグレード(質)も良く、先生にも大丈夫だと言われました。それを聞いて「これはうまくいくはず!」と喜び、生まれてくる子どもの名前まで考えていたのですが……陰性。それが分かった直後にアメリカに引っ越すことになったので、そこで一旦、気持ちを切り替えました。

体外受精の料金が高額でびっくり!

 アメリカに生活の場を移した後も子どもが欲しい思いは変わらなかったので、不妊治療の専門医を探し始めました。

 そうして慎重に選んで「ここだ!」と決めた専門医のプランは、「採卵は1回だけ→体外受精→移植できる状態の良い受精卵があれば、あるだけ順に子宮に戻す」というものでした。もちろん移植できる状態の受精卵ができなければ、最初からやり直しです。

 やり直せば、また支払いが派生します。アメリカの治療は日本に比べてかなり高額なので(前回のコラム参照)、初回に採取した受精卵すべてを移植するまで続けると決めました。  気合いを入れて臨んだ体外受精。ありがたいことに良い状態の受精卵が3つできました。まず1回目は1つ移植。残念ながら陰性だったので、再トライ。年齢を考えて2つ移植して、また陰性……。世の中うまくいかないものだなあ、と天を仰ぎました(涙)。

決めどきは、これ

 体外受精にしろ、人工授精にしろ、「もしかしたら次こそは」という期待が当然生まれるので、なかなか終わりにはできない沼にはまります。身体にも負担が掛かります。「すごく頑張ってきた治療をやめること」=「心の中では自分が子どもを持つことを諦めること」になるように感じて、精神的に踏ん切りというか、諦めがつかなくなるのだと思います。

 私の場合、日本でもアメリカでも治療中にOHSSという卵巣過剰刺激症候群になったため、また一からプロセスをやり直すと卵巣破裂の心配もありました。また、治療中はホルモン補充をするので、ホルモンのバランスが崩れます。

 一般的にホルモン・バランスが崩れると、妊娠中の人がやたら繊細になって涙もろくなったり、更年期の人はイライラしやすかったりしますよね。それと同じように、不妊治療中の私は「何にでもイライラする」「落ち込む」「ホットフラッシュ」など妊婦のソレと更年期のソレが一度に両方襲ってきました。

 ちまたでよく言われる「不妊様」の不機嫌さを大幅に超えて、「人が変わってしまった」と思われるくらい性格にも影響が出ていたようで、ある時、旦那に「この最後の移植が終わったら、諦めないか? どうしてそんな性格になっちゃったんだろう……」と言われたんです(涙)。

 確かにイライラすることは増えていたけれど、そこまで影響は出ていないと思っていたので、そう言われてハッとしました。これでは、子どもができても夫婦間に溝ができて離婚へ向かってしまう……。それでは元も子もないなと。

 本音を言うと、「あと1回だけチャレンジしたい」という気持ちもありました。「あともう一回だけ、やってみたい」という想い。でもチャレンジは3回と決めて、3回移植したけれど、結果は陰性だった——。「よし、ここまで!」。そう気持ちを切り替えました。スパッとです、スパッと!

 明らかに、私の場合は「旦那>子ども」でした。旦那も子どもが欲しかった派ですが、彼も「私>子ども」だったのだと思います。

 私は3回では妊娠できなかったので、「何回やれば妊娠できますよ」とは言えませんが、これだけは言えます。

 人生は子どもがいてもいなくても続きます。

 だから、大事なことは家族としっかり相談すること。予算を決めて、自身の体調と心の声をしっかり聞いて、「あと何回やるのか?」を決めてください。幸運を祈ります。

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