アメリカ人の社交辞令がわかりにくい!
国際結婚・海外移住

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人生の選択肢を海外へ広げたいGo Women Go読者の皆さんからの様々なご質問に、国際結婚歴16年のジョーンズ千穂さんがアメリカから答えます。

読者からの質問:社交辞令なのか、ポリコレなのかわかりません

 アメリカ西海岸の大都市在住で某有名企業で働いています。職場以外で友達を作りたくて、アプリのミートアップや地域の会に精力的に出掛け、初対面の人とも積極的に話しています。話が弾んだ人とは「また会いましょうね」とか「今度コーヒーにいきましょう」と言って連絡先を交換して別れるのですが、たいてい2度目はありません。

 そのときはすごく感じ良く話していたのに、後日連絡してものらりくらりと再会の約束ができなかったり、スルーされたりします。アメリカ人はフレンドリーだと聞いていたのに、エレベーターの中で挨拶しない人もいたり、現実とのギャップに戸惑っています。アメリカ人が日本人の私にフレンドリーなのは単なる社交辞令でしょうか? それとも私がアジア人なので、ナイスにしないとまずいという「ポリコレ」でしょうか?

「あんなに話が盛り上がったのに、なぜ?」

 こんにちは! 「アメリカ人の社交辞令がわかりにくい説」、私の周辺のアメリカ人たちとも最近、話題になったトピックです。この「社交辞令なのか問題」はアメリカ人同士であっても、なかなか難しいみたいですよ。

 私の場合は私以外の周囲の友人がみんな既婚で子どもがいるので、子どもの学校の送り迎えやら習い事がほぼ毎日あったりやらで、子なし夫婦の私たちのようにフットワークが軽い行動はできません。アメリカの場合、州によって法律が異なりますが、例えばイリノイ州では14歳以下は子どもだけでの留守番は法律で禁止されています。なので「ちょっとお出掛けしよう」という場合には、子どもをベビーシッターに預けて外出するのが通常です。

 質問者さんは「アメリカ人のお友達探し」とのことなので、お友達候補は独身か子どもがいない方が対象と思ってお話させていただきます。

 会話も盛り上がって良いお友達になれそうだと思ったのに、たいてい2度目はないとのこと。

 原因はいくつか考えられますが、ひとつはただ単に時間が合わないだけ。仕事や子どもの雑事で忙しかったり、自分の趣味に休みを使いたかったり。もしくは家族やパートナーに優先して時間を使いたいので、あなたとの時間……いや、新しい友達候補と使う時間の優先順位が限りなく低いのだと想像できます。

 2つ目は、質問者さんからの連絡がスルーされていることから単にあなたと友達になることに興味がない、連絡が来て面倒だと思われている可能性もあります。

 「あんなに話が盛り上がったのに、なぜ?」と思うと予想されますが、これはアメリカ特有の「ポリティカル・コレクトネス=ポリコレ」かも知れません。これが理由である可能性はかなり高いと言えると思います。

それ、たぶんポリコレです 

 アメリカでポリコレが顕著に現れ始めたのはここ数年、特に人種差別抗議運動のBLM(Black Lives Matter)が始まった後からだと私は感じていますが、私たちアジア人を含めた「有色人種に優しく接するのが当たり前、そうすべきである」というのが世の常識として確立されたように思います。

 今のアメリカでは、白人はもうマジョリティーではありません。それでもマイノリティーとされる私たちのような有色人種に白人は気を遣い続けなければ、社会的に抹殺されてしまう風潮があります。なかでも特にアメリカの大都市、つまりは質問者さんのお住まいであるエリアであれば尚更でしょう。白人は有色人種にナイスにしなければいけない、というのが昨今のアメリカなのです。

 該当ケースは例を挙げるとキリがないのですが、質問者さんのケースに絞ってお話しますね。

 「すごく感じ良く話していたのに……」というのは、アジア人の「あなたが積極的に話し掛けて来た」ので、たとえ話が面白くなかったとしても、興味あるように反応したり、満面の笑顔でナイスに接していた可能性は大いにあると思います。

 昨今のアメリカではポリコレがいきすぎているため、一般的なアメリカ人は日本人のようなマイノリティー人種と接する時は「腫れ物に触るように」接します。使う単語を慎重に選び、相手の感情を損ねないように笑顔を絶やさず、楽しんでいる様子を出そうと頑張るので、相槌も同意かポジティブしかしない傾向があります。

 というか、そうせざるを得ないのが今のアメリカなのです。

 だから、教養のある多くのアメリカ人は日本人にものすごくナイスです。でも、そういう人と友達になろうとしても、心の内をちゃんと話してくれたり、お互いを理解し合えるまでには相当時間がかかるでしょう。

 それに、もし相手が「あなたとお友達になりたい!」と思ったなら、相手からもコンタクトをしてきたと思います。何せアメリカ人は狩猟民族、ハンターですから、そう思った時の行動は素早く、押しも強い(笑)。もちろんアメリカ人の中にも慎重な方もいますし、もしかしたら宗教的な理由もあるかも知れません。

 ですが、相談者さんからの連絡をスルーされているならば、「ポリコレがあるから、ナイスだっただけ」という可能性は高いと思われます。

アメリカ人はフレンドリーじゃないのか?

 アメリカ人がフレンドリーじゃなくてガッカリされた、との件。

 これも一言で片付けるなら“人それぞれ”です。相談者さんは米西海岸にお住まいとのことなので、米南部生活が長い私からすると、そもそも米西海岸はフレンドリーではありません(笑)。だから、これも地域性があると思います。

 勘違いされている方も多いと思うのですが、めちゃくちゃフレンドリーだと言われる米南部でも、あなたがムスッとしていたり、相手と目線を合わせずに忙しそうにしていれば、知り合いでない限り、相手から挨拶してきたり、微笑みかけることはありません。なので、相談者さんはいつも笑顔なのか、いつでも相手と目線を合わせているのかも気になります。  

 もし、こちらから笑顔で「ハーイ!」と大きな声で言っても無視された場合は、その方は笑顔で挨拶をしないような国(例えばドイツやロシアなど)から来た移民なのかな?と思うことにすれば、気分が少しラクになるかも知れません。じゃなかったら、その人にとって人生最悪なことが起こった日なのかも知れないと思って、無視されたことは忘れましょう!

 アメリカには心から優しい人や素敵な人もたくさんいるので、友達ができないと決めつけないで欲しいです。相談者さんが出会いたい人にめぐり合えますように!

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