読者からの質問:このまま逃げ切れるでしょうか?
某企業の会社員です(先日50歳になりました)。実家と会社が近く、独身なのでずっと両親と同居しています。70代の両親は幸い二人揃って元気で仲も良く、年金生活で特に困ることは今のところありませんが、両親が亡くなった後の自分の生活のことも考えた方がいいと思い始めています。
でも、これまで一度も一人暮らしをしたことがないので、家族がいなくなる日のことは想像できないと言いますか、そういうことを考えるだけで落ち込むので、先のことはできるだけ考えないようにしている自分もいます。
会社には定年まで務めるつもりです。実家のローンは完済しているので、両親の生命保険(1500万円)と自分の約800万円の貯金と30年以上勤めてきた会社の厚生年金があれば、特に今から何もしなくても逃げ切れるでしょうか?
現実から目を背けても……
現実から目を背けてることは、自分が一番知ってるねん。
そやから、そのことから逃れても逃れても死ぬまで追ってくる。
ま、死ぬ前に現実を突きつけられるんやけどね。
その時に、愕然としんように、アドバイスしとくね。
まず、あなたはひとりっ子なん?
親の家、両親の生命保険は、あなたがひとりで相続できるの?
嫁いで遠くに行ったお姉さんにもあなたの同じ相続権があるし、
万が一、お父さん、お母さんが再婚やったら、
以前の結婚で、あったこともない兄弟がいた、なんてことは
時々ある話やねん。
親の介護で親のお金を使い果たす、ってことも覚悟しといてな。
まだ70代、掃除も料理もお布団も干してくれる、ありがたい親が、
何もできひんようになる。
多くは80代後半からやけど、
認知症やパーキンソン病、脳梗塞で
それまでの姿と一変して
日々の生活にも人の手を借りなあかんことは多い。
デイサービスやヘルパーを頼めばいいやん、と思うかも知れへんけど、
「他人に家に入ってほしくない」
「家族にしか体を触らせへん」
なんて親はいっぱいいる。
アルツハイマーになると、ものすごく怒りっぽくなったり
攻撃的になることもあるんや。
両親揃って生きててくれはることは、すごく嬉しいことやけど
介護が二人揃って同時に起こることもある。
パートナーや子供や兄弟の手も借りれずに、
孤独な“ひとり介護”
施設に入れるにも年金だけでは足りず、
親の貯金から取り崩したはる人が多いよ。
両親に貯金がなければ
保険を解約するか、
あなたが自分の資金から援助することになる。
家のローンがないのはいいけど
ガタがくるころやろう。
屋根、外壁、リフォームもいるやろう。
その頃に家電も一緒に壊れてくる。
なんでやろな、
病気がうつるように、
あれもこれも故障してくる。
不思議なもんや。
逃げ切れるかどうか、
それはわからへん。
何が、いつ起きるかなんてわからへんからや。
そんなわからへんことより、 貴方にやってみて欲しいことがある。
まず、これやってみて
1. 投資
投資やってる? やってへんかったら今から始めてみて。
まずは証券口座を開いて、NISA口座を開設してみて。
手数料の低い、長期的にみたら
右肩上がりに上がっている投資信託を毎月定額積み立てていって。
ちょっと下がったりしても、気にせんと。
きっと将来の貴方を助けてくれることになるとおもうよ。
2 パートナー探し
諦めんとパートナーを探してみいひん?
50代で始めての結婚をされた方も私の周りにもいるよ。
結婚っていう形は取らなくても
あなたが辛い時、相談できる、心から信頼できるパートナーを
作って欲しいん。
人間、ひとりでは生きられへん。
いい時も、悪い時もあるねん。
人生の苦難が、終盤に訪れる人もいるんや。
親以外に、貴方のことを親以上に大切に思ってくれる人はきっといはるねん。
3 仕事以外の楽しみ
仕事以外に楽しめるもん、見つけてや。
趣味、習い事、ボランティア、何でもいい。
仕事以外に情熱を注げること、してる?
仕事を一生懸命してきた人は、
人間関係も、時間も、定年退職でぽっかり空いてしまう。
自分の価値が何にもなくなったような気になるんや。
これはものすご、辛い。
お金(給料)がはいってこんことより辛いと私は思うねん。
仕事を辞めた時、生きていく上で必要な、“自己肯定感”を何で得るか?
これも考えてみてな。
ご両親との穏やかな、幸せの時間がこれからも続くことをお祈りしてるよ。
でも、永遠には続かない。
これは確かなことや。
親を大切に看取れるように、私は最近看取り士の資格をとったよ。
未来から目を背けず、納得する選択ができるよう、今から準備して行ってね。
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